子供の心理面に良い影響ずくめの抱っこ
子育てにおける常識というのは時代によって大きく変わるものですが、抱っこについての意見も価値観が180度変化した顕著な例と言えます。
現在のお祖母ちゃんくらいの世代の人の子育てでは、子供が泣いてぐずったときにすぐに抱っこをしてあやしてしまうと「抱き癖」がつくのでよくないというふうに言われてきたものです。
「抱き癖」とは泣くたびに抱っこをすると子供が「泣けば大人はわがままを聞いてくれる」と勘違いするので甘やかされて育ってしまうという意味です。
しかし現代の子育てでは逆に子供の時に抱っこをあまりしないで育った子供は、大きくなったときにうまく自己肯定感を持つことができず心の弱い大人になってしまうというふうに真逆のことが言われるようになっています。
一般論ではありますが、統計的に子供の頃の保護者とのスキンシップは子育てのための作業というよりもむしろ心理面に大きな影響を与えることであることが研究により明らかになっています。
子供の時に抱っこをされた記憶というのはその事自体は忘れてしまっても、精神を作り上げていくための土台として長く心の中に残っていくものなので大人になってからもふと両親の思い出の一つとしてぬくもりを思い出したりします。
原記憶となる大切な行為なのだということは大人もしっかり毎日の子育ての中で意識していきたいところです。
なぜ子供にとって抱っこがよいのか
なぜ抱っこをするのが子供にとってよいのかということを説明する前に、「抱き癖」の何が悪いのかというところから説明をしていきます。
先ほど説明したように抱っこを繰り返し行うことでつく「抱き癖」は、一見わがままなように思えますが実はこれはその後の人生におけるものの考え方に大きな影響を与えるものです。
「抱き癖」を悪いものとして考える人は子供が泣くことで大人に言うことを聞かせること自体を悪のように扱いますが、それは全く逆です。
自分で移動をしたり言葉を話すことができない子供にとっては自分の意思表示をするための方法は泣く以外にありません。
つまり自分ができることを精一杯努力することで、抱っこをしてもらうというご褒美を得ることができるということを体験することで「自分の努力でほしいものを得ることができる」という自信につなげることができるのです。
子供のときにいくら泣いても誰も抱っこをしてくれないということを長く経験すると、「自分の力ではどうせなにも出来ない」という自己肯定感の低さを覚えることになり、また泣いても無駄ということを覚えるので次第に表情が乏しい子供になっていきます。
人のしあわせ感は他人との触れ合いで作られる
もう一つ子供にとって抱っこが良い影響を与える根拠となるのが、人は他人と抱き合うことによって大きくストレスを軽減することができるということです。
人間が自分のことを幸せと感じるときには、脳から幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」が多く分泌されるということがわかっているのですがこのオキシトシンは人と抱き合ったときに多く出ることがわかっています。
誰かと30秒抱き合うことで心理的ストレスを30%減らせるという心理実験もあると言われていて、人が人と直接体を触れ合わせることによるメリットは非常に大きなものとなります。
細かい理屈はともかく、子供は大きくなってくるとなかなか親とスキンシップが取りづらくなるものです。
手間がかかる大変な時期ではあるものの、1歳くらいまでというのは子供が一番かわいい時期ですからどんどん出しおしみしないで抱きしめてあげてください。